O~必要不可欠要素~
ヲタクブログです。 絵は無断で持ってかないでください。 ついったーでも呟いてます→wataame1gou シブ垢→523874
×
[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。
『15才×9才の設定でお見合いで出逢うところから始まる日カムの、漫画または小説を書きます』
という診断が出ました。RT(需要)はないけど思いつきで書きますた。
書きそびれてた。ここの神座父は霧切パパっぽい人です。てかキャラはそのまま彼です。響子さん(まだ)いないけど。
という診断が出ました。RT(需要)はないけど思いつきで書きますた。
書きそびれてた。ここの神座父は霧切パパっぽい人です。てかキャラはそのまま彼です。響子さん(まだ)いないけど。
俺と神座出流との出会いは、俺が15の時の親の見合いの席だった。
俺の親は母親だけで、父は俺が5歳の時交通事故で死んだ。それから母は自分で稼いだり保険を貰ったりして俺を育ててくれてたんだけど、俺が手のかからなくなってきた歳になって親戚から見合い話が入った。俺みたいなコブがついてて再婚見合いとか本気かよと思ったんだが、先方も奥方を亡くした子持ちらしい。どちらも男児を持った善良な市民だからとおせっかいな親戚が推して来たのだ。
正直当時の俺としては親が女になるのを見るのは複雑な心境だったし、親としても今更再婚するのに気が引けていたようだったけど、その勧めてきた親戚にも日頃世話になっていた手前無碍に断ることも難しかった。なので俺から見合いだけはやってみたらと言ったのだ。
母親も俺なりの下手くそな気遣いを理解したらしく、じゃあ創も一緒にね。と俺もついていくことになった。
その日俺はいつもの学生服で、母は質素なワンピースを着ていた。母は20代前半で俺を産んでたから今も十分若いんだけど、俺と出かけるときは遊びに行くとき以外は地味な恰好をしている時が多い。今日の恰好もお見合いというより親戚の結婚式にやってきたみたいな感じだ。
見合いの席にやってくると、既に相手側はやってきていたようだ。スーツ姿の落ち着いた様子の男性と、男子にしては髪の長い小学生くらいの男の子が座っていた。
おまたせしてすみません、神座さんですかと母が尋ねると、そうですと男性も答える。ここで間違いないようだ。
場をセッティングした親戚の大叔母がニコニコと場を進行させ、大人たちは和やかに話を進めていた。母も相手の男性も想像していたような男女の会話というよりは保護者会のような話になっていたので、大叔母は俺たちにそそと外に遊びに行ってみたら?と水を向けてきた。
どうやら親同志、子供がいる前では恋愛などの雰囲気には進まないだろうと考えたのだろう。大叔母の魂胆はわかりやすいほどだったが、俺はあのとぼけたところのある母なら仮にモーションがあっても素知らぬ顔でカウンターするだろうと予期していたので、その流れに抵抗しなかった。
俺はすい、と子供の手を引き、外に出ようと指をさした。
「どこ行くか」
「・・・」
「お、ベンチ発見。座るか」
「・・・」
「座るぞ」
一言も話さない子供を隣に座らせ、殆ど一方的に俺は話した。別に聴いてなくても構わない。
親の見合いの席に連れられたのが複雑なのか元々の性格なのかわからなかったが、神座出流と呼ばれたその子は一切話さなかった。いや、神座さんに自己紹介を進められて名前を名乗ったくらいか。
作り物めいた白い肌に整った顔、赤い瞳と腰まで届くくらい長い髪を持ったその子供はずっと外を向いて出されたオレンジジュースを飲んだりぼんやり眺めていた。俺といえば対面に座る出流をぼんやり眺めて、どことなくほわほわした母親のやりとりを聞いていた。
しっかりしてないわけではないんだが、この母はどこかそういった他人の思惑を知ってか知らずか無視するような上滑りする言動をするので、それなりにモーションかけられてもフラグをぶち壊すところがある。なのであまり俺は心配はしてないんだが、そんな母を攻略しようと頑張る人は実を言うとそこまで嫌悪していない。あのにぶちんを頑張って正当法で攻略出来たらむしろこんな母ですがよろしくお願いしますって言ってしまうかもしれない。
そんな俺の裏事情はいいとして、今はこの隣の出流のことである。全く周囲を取り合わない出流の事は神座さんが簡単に説明してくれた。どうやら出流はいわゆる天才児、神童というものらしくて、ありとあらゆる習い事もスポーツもすぐにマスターしたけどどれも長続きしないらしい。その理由が途中で投げたというより、マスターしたが故に「ツマラナく」なったからだそうだ。なんだそれ、と一つも才能のない俺は初めは思ったんだけど、出流の様子を見るとちょっと考えを改めた。
才能というのは、良くも悪くも本人で選択出来るものではないし、その人の嗜好とは別のものである可能性だってあるものだ。望んで手に入るものでもないし、望んで手放せるものでもない。神からのギフトは人間側から簡単に捨てられるものじゃないんだ。
もし、全部の才能があったとして、世の中の事全部分かって、全部やりきったら、それって幸せなのかな。ゲームでもレベルをカンストしたら、とたんにそのゲームが楽しくなくなるように、「やりきったこと」で何もかも面白くなくなるのかもしれない。そんな事、考えた事もなかった。
出流くらいの年齢だったら、こんな場所に連れられて知らない親戚の子のような奴と一緒にいたら大体携帯ゲームやらに夢中になるもんなのに、親しい年代のはずの俺に対してコイツの口からは一言も何の話題も漏れない。そんな子供、俺は一度も見たことがなかった。
「出流はさ、生きてて楽しい?」
「・・・」
「俺は平凡なやつだったからさ、特に何も秀でたものもないし、才能が凄く羨ましかったんだ。だから何か才能ないかなって、色んな事にチャレンジしてみた。結果は散々だったけどな。これでもまだ何かないかなって努力してるところだ」
「・・・」
「俺、お前に会って、はじめて才能があるやつの悩みってのを考えた。才能があっても、それはそれで辛いんだな。お前さ、全部つまんないんだろ。生きてる意味なんて俺には全然わかんないけどさ、楽しくないと生きてくのって辛い気がする」
「・・・」
「出流は、今生きてて辛い?」
「・・・ツマラナイ」
「そっか」
返事をしてくれるとは期待してなかったから、俺は少し嬉しかった。少しは俺の考えを受け入れてくれたのかな。それか俺の考えの押し付けがうざかったのか。いや、多分うざかったら無視しそうだからそれはないか。
俺は、隣に腰掛けている出流の頭にポンと手を置いた。振り払われるかもしれないと思っていたけど、出流は身動ぎもしなかった。
結局その後特に会話もなく、二人そろってぼんやり前を眺めていたら、母と神座さんが迎えに来てくれた。大叔母さんも帰って俺らも帰ろうという事らしい。俺が立ち上がろうと構えたら、横からシャツの裾を引っ張る感触がした。
驚いた事に出流が俺の服を握っていた。その様子に俺も母も、そして何より神座さんが感嘆した様子だった。
「創くん、出流とまた会ってやってくれないか。私達のことは抜きでね。出流がああやって誰かと一緒に居たがったのは初めて見たんだ」
そう俺に耳打ちした神座さんの言葉に俺はにこやかに承諾の返答をしたのだった。
PR