O~必要不可欠要素~
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プロットだけで放置してた話をえれたんに合わせてエレジャンエレ風味にした小話。
「オレ、ジャンの手が大好きだ」
そんな風に言ったエレンの言葉に俺はそうかと答えるだけだった。
昔から同い年の姉の髪を触ったり結ったりするのが好きだった俺は、学校に上がるなりクラスメイトに女の髪を触るなんて気持ち悪いってからかわれて以降、人前でそうすることを辞めた。
それでも人目を忍んで他人の髪に触れ続けたのは、俺の手の感触がなくなるのを悲しんだ姉のお陰であり家族の暖かい協力があったからだ。
自分の髪には頓着せず短ければ良かった俺は、長く伸ばしてくれる周囲の人間の美しい髪を触り続けて成長していった。
それに美容師が身内にいた事がなによりの手本になった。
10を越える頃にはバリカンを任せられ、父の後頭部を刈り上げていたのはプロである叔父の指示があったから出来たことだ。
そんな俺の髪型も何度か静かに試行錯誤で変化して、今のツーブロックに落ち着いた頃に俺はエレンと出会った。
エレンは昔っから生き急いでいた奴だった。
曲がったことが嫌いで自分の正義を持った融通のきかないところを持っているかと思えば、興味が無いことにはとことん鈍い。
俺もその頃はアレだったけど、思春期という事を考えてみてもよっぽど極端なブレ幅を持っていたアイツとはよくぶつかっていた。
そんな中同じ学校に進学していた姉の髪を結い直していたところをアイツに見られたことがあった。
授業で運動着から制服に着替える途中に乱れた髪を結い直して欲しいと頼まれ、おろしたままの髪をクラブが始まる前にこっそり直すのは既に何度かやっていたので俺は快諾した。
その風景を偶然忘れ物をしたエレンが見かけたのだ。
俺はてっきり昔の様にからかわれるのだと身構えた。
だがエレンは固まった様に動かなかった。
しばらくしてエレンが放った第一声が「いいなあ」だったのは俺としてはものすごい衝撃だった。
脳内が飛躍して、何だコイツゲイなのか?まで行ったところでエレンはまた口を開いた。
「ジャン、お前美容師になれよ。そんでオレの髪切ってくれ」
よく見たらその時のエレンは俺の手をガン見していた。
姉にその後聞いた話だと、エレン実は結構俺の方を見てた事があってそれを俺はガン飛ばしとみなしていたんだが、実際は俺の手を見ていたらしい。知るかそんなの!
エレンの手フェチが発覚してから、エレンは本当に遠慮無く見たり触ったりしてきた。
アイツが求めているのは俺の手だけだと知っているのはごくわずかで、傍から見たらどうやってもゲイップルだから自粛しろと鉄拳制裁しだしたのもこの時からだった。
ただ自分から提案しただけあって、アイツは貴重な男のカットの練習台になってくれた。
男は髪を自分の勝手に出来ないの結構嫌うから、長めの髪でセットの練習付き合ってくれるのは実は有りがたかったりもする。口に出さなかったけどな。
何度目かのシャンプーの練習の時に心底うっとりした声で「オレジャンの手が大好きだ」と言われた時は「そうか」としか返さなかったけど、不機嫌なことがあった時でも俺が頭を撫で繰り返して手櫛で髪を梳るだけで機嫌を直すアイツを見るのは嫌いじゃなかった。猫を撫でている様で。
それでも油断するとこっちの手を舐めたり噛もうとするアイツの手癖というか口の悪さ(物理)には呆れたがな。
手フェチの感覚は理解出来ない。なんで野郎の手を口に含もうとするんだ。いみわからん。
そんなエレンも俺が就職してからずっと店に来てくれる常連客だ。
今日もご満悦に髪を洗われている。
うわあすっげえ涎。口元ゆるいって言われる俺も吃驚のどろっどろの顔だ。
お前彼女が出来てもこの顔だけはすんなよ、百年の恋も覚めるわコレ。
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