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ヲタクブログです。 絵は無断で持ってかないでください。 ついったーでも呟いてます→wataame1gou シブ垢→523874

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ハンター話つづき。


「は~い、異変調査でモンスター討伐!ココぞとばかりにチョイスしたよ!大地揺さぶる鎧竜グラビモス!雷鳴轟く雷狼竜ジンオウガ!そして天空の王者火竜リオレウス!どの子から行ってもいいよー嬉しいだろなかなかないよこのラインナッp「ふっざっけんなクソメガネどれもこれも面倒臭えモンスター選びやがって!!」

黒い霧のような物に覆われ全身を暗い色に染め上げていたモンスターの目撃が増えてきた為、その調査をするために複数のモンスターを狩猟もしくは捕獲する事になった。のだが、よりにもよって依頼を受給したハンジが自分の好みでモンスターを選択したため、いきなり対象のモンスターの強さが今までのものより一線を画する事になってしまった。
つい先程偶然にも海竜ガノトトスの素材がそろって装備を一新出来たのでいくらかマシにはなったが、いずれかのモンスターの素材を集めて装備を新調しなければならないだろう。
当たり散らしたくもなる。

「ああ、本当にジャンが採取ツアー組んでくれて助かった…回復アイテムが底付きてたぞ…。しばらくは秘薬と強走薬作りだな…また肉焼き器を回す作業が続くのか…」

その前に久しぶりに生肉狩りツアーだな…と遠い目をしていると、俺とハンジのやりとりが聞こえたのかジャンが近くにやってきていた。やべえ、コイツの前で俺まで奇声を上げてしまった。

「大丈夫ですか、リヴァイさん?すごい声が聞こえたんですけど」
「ああ、うるさくしてすまない。あのクソメガネ…ウチの受付嬢がよりにもよって面倒なモンスターばっかり依頼を持ってきやがって、あのモンスター狂が…。いつか絶対削ぐ。
それより、お前が入れてくれた依頼のお陰で前準備が出来そうだ。ありがとうな」
「いえいえ、それより大変そうですね…一気に依頼が増えて」
「ああ。まあしくじらないよう順当に装備を整えていくさ」

そう言って苦笑した俺に、ジャンは不思議なほど穏やかな顔をして言った。

「貴女なら…成し遂げるでしょうね。馬鹿みたいに見えるでしょうけど、俺、リヴァイさんが強い困難にぶち当たってもなお立ち続けている姿が見えるような気がするんです。別に予知の力を持ってるとかじゃないんですけどね。
貴女なら…」

まだ言葉が続きそうなところで口を閉ざし、ジャンは静かな眼差しをこちらに向けた。

その言葉の本当の意味を知るのは、もう少し後になってからだった。




周囲の大型モンスターを調査して分かったのは、特に異変といえるような病原体を持った個体が居なかったということだった。つまり肩透かしだ。
良いようにハンジにモンスターを見せて回った気分がして、いいことのはずなのに不機嫌になっていた俺は思いもしない強敵にぶち当たった。

天空山の周囲を視察していた筆頭ハンターのリーダーが緊急にシナト村にやってきたのだ。散々病原体と脅威を振りまいていた謎の黒竜ゴアマガラの「抜け殻」の情報を持ってきて。
聞けば「脱皮した」ゴアマガラはその身にまみれた病原体の塊を注ぎ落とし、本体である白金の鱗を晒した姿でシナト村の禁足地へと向かったそうだ。

「非常事態、か」
「ああ。子供たちは一時的に山を降り、ここを最後まで見守りたいという頑固者だけが残っているよ。他の人たちは船での移動が完了した」
「協力、痛み入ります」

そう言ったのはギルドでの情報をこのキャラバンに、そしてシナト村に持ってきた筆頭ハンターのリーダーという人物だった。どうやら団長エルヴィンの旧知のようだ。(その話は追々にしましょうと逸らされたが)

「かまわんさ。それに災害の予兆とまで言われたんだ、ある程度覚悟はしていた」
「エルヴィン、お前がそれをこの村に持ち込まなくとも、遅かれ早かれ元凶が目を覚ましていた時点で変わりはなかっただろう。俺が言わなくてもお前なら予測してただろうが」
「ああ、だがありがとうリヴァイ。そして、お前がこの件に関わってしまったのは、単なる偶然なのか、運命なんだろうかな?
私としては、この村の人たちはとても運が良かったのだろうと思うよ」

俺達の話に違和感を覚えたのだろう、筆頭リーダーが口を挟んだ。

「エルヴィン殿、それは一体どういう…?」
「ああ、君は知らないのか。我がキャラバンのハンターの事を」
「いえ、リヴァイ殿が今急成長の注目ハンターという事は知っていますよ。一度我らを手助けしてくださった事もありますし…」

意を汲みとれないという顔をした筆頭リーダーにハンジが横槍を入れてくる。

「いやいや、そういう話じゃなくてね?」
「それは…?」
「おいエルヴィン、ハンジも、要らんことを言う必要はない」

俺が途中で遮り、聞いていられないとばかりに村の奥に進んだ。その為俺はその続きを聞いていない。

「君がハンターになった頃には既にすれ違いだから、『彼』には会ったことがなかったんだね…『人類最強』と呼ばれたハンターには」

そう意味深に言葉を落としたハンジの言葉を。



村の奥には小さな身体を更にしょんぼりと縮めた村長がいた。

「おお…とうとうこの悲しい時を迎えてしもうた…大僧正さまにはお伝えしておる。例の厄災がいる禁足地へと向かうには大僧正さまのお許しがあってこそじゃ。
この門の先の聖殿に大僧正さまはいらっしゃる。ハンター殿、どうか、どうかよろしくお願いしますじゃ…」
「…そうしょんぼりするな。成るようになるもんだ」

そう言って、門からすぐに掛かった吊り橋を抜け、大きな祠のような聖殿へと俺は向かった。
その聖殿には外観にも沢山の風車が回っていたが、中の祠にもしずしずと音もなく回る風車が道伝いにぽつん、ぽつんとあった。
俺には、なんとなく予感がしていた。

紫と白を基本とした品の良い衣装―祠の奥に凛とした佇まいで高位僧の正装で座っていたのは、肩書に見合わずとても若い亜麻色の髪の青年だった。

ジャンだ。


「…貴女を待っていました」

「まずは身分を隠して貴女と接していたことを謝罪します。俺…私はこの村の約束の象徴として大僧正という役職を持った人間です。
貴女をずっと見ていました。禁足地へと向かい、その勤めを果たしてくれる人物なのか見極めるのも私の役割だったので…十数代に渡って大僧正が代替わりして、忘れかけていた役割を今こうして貴女に託す事になってしまった。
この村には古い詩と言い伝えがあるんです。天を廻りて天災が戻り来る 天災振りし時 天は闇に覆われ まばゆき光は失われし 天を廻りて戻り来よ 災厄敗れしとき 闇は破られ光と風舞い戻らん
今まで俺は…私はこの詩の意味がわからなかった。でも、貴女を見ていてこの詩は昔あった史実なんだろうと納得したんです。
孤高の美しい人、『ハンター』リヴァイ様、貴女に全てを託します。
禁足地へと赴き古龍シャガルマガラを討伐してください。
そして、この村を…俺の生まれ故郷を、お守りください」

そう言って大僧正―ジャンは深々と頭を下げた。

「頭を上げてくれ、ジャン」

言ってもなかなか姿勢を戻さないジャンに焦れて、俺は触れがたい神聖な衣に包まれたジャンの肩を無理に押し上げ顔を上げさせた。

「なあ、ジャン。合う度に俺はお前のはにかんだ笑顔を見るのが楽しかったんだ。前にも言ったように、元々は自分の目的ついでにハンターの依頼をこなしていたが、最近は依頼をこなして戻ってきた時のお前の『おかえりなさい』が聞きたくなって、目的と手段が逆になりつつあった。…お前に失望されると困るから、言わなかったがな」

そんなこと、と首をふるジャンに俺は続けて言った。

「血に塗れ獣を屠る穢れた俺がお前と話していると身が清められるような気がしてたんだが、お前が僧侶だったからなんだな。穢れを払ってくれていたのか?」

「貴女はそもそもそんなに穢れを持ってこない方だったから、初め見た時は本当にハンターなのか驚いたくらいですよ。とても清潔好きなんだろうなって。でもその肉体に走る傷と鍛え方を見れば只者ではないのは一目瞭然で、こんなに美しい獣のような人が存在するのかって感動してました」

確かに俺は狩りが終わると船に戻る前に必ず川や水辺で身を清めて戻っていた(身についた汚れを落とす事もだが、原因不明の病原体を保菌しないためでもある)が、スピリチュアルな方面でも良い行いだったようだ。そう伝えると感心したように溜息をつかれた。
そんなことより、ここに来てまさかジャンに褒め殺しのような状況になるとは思っていなくて、俺の中で色んな感情が混ぜこぜになっているのを他人ごとの様に感じていた。

「あまりそう持ち上げるな。傷があちこち走ってとても嫁の貰い手もないどころか女として認識されるかも怪しいくらい」
「何を言ってるんですか!!リヴァイさんは綺麗ですよ!!」

自虐的に言い捨てようとした言葉を遮られ、ジャンは俺の肩まで掴んで言い放った。言った後でみるみる顔が熟れた林檎のようになっていくのを見て、俺はつい言ってしまった。

「なあジャン、お前のその大僧正ってのは、女禁はないんだよな?」
「へ、結婚できないとか…そういう意味ですか?」
「ああ…まあゆくゆくはそうなるか、子供を持つのも無理とかじゃないんだよな?約束の形としての宗教かと思ったんだが」
「大体そうです、かといって別に歴代の大僧正は血縁でやってるものではないですけど、過去の大僧正で結婚してる人もいます」
「よし」

覚悟を決めて、俺はジャンの耳元に吹き込んだ。

「    」

その後の反応は凄まじかった。

「恥を知れよ!!!!!」

と絶叫したかと思うと、頭を抱えて云々唸り出した。あまりの反応の激しさに少しびっくりしたが、ニヤニヤと俺はジャンの頭を撫でて「考えとけよ」と言ってその場を立ち去ろうとした。
その段になって自分の役割を思い出したのか(一瞬頭から吹っ飛ばさせた人に言われたくない、とジャンなら言いそうだ)ジャンは早口で禁足地の説明をしだした。

「禁足地は天空山のキャンプの後ろ側にある閉ざされた門の先です。その門にはここの壁に描かれた文様と同じものがあるはずです。その門を開けてますので、その先に進んでください。
古の開けた戦場があるはずです。そこで恐らく言い伝えの詩と同じ光景が広がるんでしょうね」

ジャンは説明の後、思わずといった風で続けた。

「それにしたって、さっきの言葉が遺言になるなんて間抜けすぎるんで、絶対無事に戻ってきてくださいね!ああもう、なんだってこの人は、先回りしてプロポーズなんて…男の俺の立場が…」

ブツブツと続けた言葉に聞き逃せないものも含まれていた様だ。俺はいよいよ顔のニヤケが隠せなくなり、ジャンに「何ですかその顔!?」と八つ当たりされながら、軽い足取りで祠を立ち去った。





「重要な任務を持ち帰ったにしては随分と御機嫌なようだな、リヴァイ?」

船に乗り込み禁足地へと向かう途中でエルヴィンに問われた。甲板には強い山風が撫でるように吹き付けていた。少し冷えると紫の布を羽織る。ジャンから以前貰ったものだ。

「ジャンにプロポーズした」
「ほう!とうとうか。返事は?」
「男のプライドと戦っていたから頭を撫でて捨て置いた。しばらくすりゃ腹くくるだろ」
「彼は君の今の立場を慮って我慢していただろうに、酷いことをするね」

そう言って耐え切れないといった風にエルヴィンは吹き出した。笑えば同罪だろ。

「変なところで遠慮なんかしやがるから、宗教的に無理なのかと思ったのにただのヘタレだった。据え膳だったからこっちから喰っただけだ」
「…まさかもう?」
「安心しろ、コッチもアッチもまだ清い身だ」
「まだって言う言葉が怖い…」

声を聞いてついうっかり口走ってしまったという顔をしたモブリットと目があった。そういうお前だってシレッとハンジとデキてるだろうが。こちらが目を向けると慌ててエンジンルームへと戻っていった。睨んだつもりはないんだがな。

船が目的地について、キャラバンの皆んなから一言ずつ激励をもらい、タラップを降りる。
むき出しのキャンプ地の裏側に建てられた…否、キャンプ地が作られる前から建っていたであろう古い東方作りの封じられた門は、封印の文言の入った朱色の帯を沢山靡かせて開いていた。
歴史を感じさせる佇まい、と万人は感じるのだろうか。俺にとってはただの通り道に過ぎない門をくぐり抜ける。
はるか昔に猛威を振るったという古龍と初めて対面するというのに、俺は特に緊張も恐怖も感じなかった。
うねる黒い霧と暗闇に覆われた大気は身体を強く押し、開けた高台へと向かう。中央にはドス黒い霧を吐き出す白金の巨体が見えた。
黒竜ゴアマガラ改め古龍シャガルマガラだ。冠のように額に生えたツノは怒り狂ったゴアマガラと同じようでいて、途中で疲弊することがない分集中攻撃が出来ない。
少し削っては回避し、また隙を見て攻撃を繰り返す。吐き出す狂竜ウィルスは四方八方に分裂し、変則的な線を描いて破裂する。
疲れることなく暴れまわるその古龍は、まるで遊び足りないガキンチョのように俺には見えた。
永い眠りから目覚めて、孤独に世界を飛び回り、戻ってきた故郷はどうだ?
同族のいない独りぼっちはつまらないだろう。

「遊んでやる」

だから遊び疲れたら、ぐっすりお眠り。


白金の古龍が倒れた後、周囲は一気にその闇を分散させ、明るい日差しが目を焼いた。
真っ暗で見えていなかった周囲が目に飛び込む。高台は天空山の様に空中に岩盤が浮遊しているような風景で、周囲には古い塔の様なオブジェがそそり立っていた。その先端付近には封印門と同じような朱色の帯が強風に煽られ真横にたなびいている。
とても美しい光景だった。

「ジャン…」

これが、アイツの生まれた土地。禁足地というのが勿体ないほど、彼と二人で見ていたい風景だった。



船が訪れるまで時間があったので、近くの水源で今回獲得した素材と装備を洗っていた。その後下着姿になって水面に身を沈める。すると、とたとたと足音が聞こえてきた。

「リヴァイさん、大丈夫でした…っ!?」

振り向くと農作業をする身軽な格好をしたジャンが立っていた。人影を見つけて声を掛けたら下着姿が思いがけなかったのだろう。顔を真っ赤にしている。初いやつめ、クソかわいい。

「ふ、服!服来てください!!」
「これくらい気にすんな。パンツ一丁でモンスター撃退したことくらいある。得物もあるしな」

そう言って腰につけたダガーを抜いてジャンに見せた。

「そういう問題じゃないです!!俺だって、その、男なんですから…」
「お前なら大歓迎だ」
「もう!」

そう言ってジャンは前にくれた紫色の布を俺の肩にかけた。どうやら船から持たされて来たらしい。

「俺が言うのもおこがましいんですけど、その、次から簡単でもいいんである程度目張りをしてから身体を洗ってくれませんか…リヴァイさんのオトモを見張りにするとかでもいいんで…オトモには俺から金出しますから」
「そこまで心配することはない…が、まあいいだろう。オトモの見張りは俺の依頼金内でやってくれるだろうから気にするな」

嫉妬か。顔のニヤケが止まらない。

「それより、お前迎えにわざわざやってきたのか」
「情けないですけど、居ても立ってもいられなかった俺を見かねてくれた団長さんが特別に乗せてくれました。本当はこういう時こそどっしり構えて待つのが大僧正の役目なんですけど…修行が足りなくて」
「恋人としては役得だがな、俺にとって」

恋人という言葉でまたジャンの顔に朱がさす。

「違うのか?」
「いいえ!…ああもう、悔しいな…ペースがめちゃくちゃだ…
リヴァイさん、俺を貴女の恋人にしてください!」

「俺はもう、お前が夫の様な気持ちだったぞ」

俺の言葉にとうとう言い返すことが出来なくなったのか、ジャンはぎゅっときつく俺を抱きしめてくれた。

俺はそうやってようやくずっと欲しかった物を手に入れた。

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