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O~必要不可欠要素~

ヲタクブログです。 絵は無断で持ってかないでください。 ついったーでも呟いてます→wataame1gou シブ垢→523874

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唐突だが、俺、ジャン・キルシュタインはいわゆる霊のようなものが見えてしまう人間である。

なんでそこで霊だって断言しないのかっていうと、生前知ってる人間が死亡した後半透明で見えたりしたことがないからだったりする。
なのでそこらに漂っている半透明な人っぽい形の何かは”多分”霊なのかなって推測するしかない。
まあだからどうしたのかっていうと、特に得したことはない。
むしろ何ガンつけてんだって因縁つけられるか、え?なになに視えるの?ちょっとお話しない??ってくらい視界をぐるぐるぐるぐる回ってこられたりとか碌なことがないので、”それ”を感じるようになってからはだいたい無視するようにしている。
それでも完全に無反応な人間と比べたらいくらか違う反応をしてしまうので、”あっち側”からこっちに猛然と突進されてきたり付きまとわれたりしたこともあった。
そういう時は仕方ないのでグーパンで物理的にふっ飛ばしている。
それを除霊力(物理)と呼んだのは唯一俺が自分からこの厄介な体質を伝えたマルコだった。
マルコといえば、マルコも”そういう意味”では凄いやつだったな。
霊も何でかわからないけど時期によって増えたり減ったりするんだが、殴れど蹴れど次から次へ霊がうじゃうじゃ湧く時期に俺がへばってたことがあった。
その時マルコの周囲だけちっとも霊が近寄らなかったんで、それ以降霊に中(あ)てられてグダったらマルコにへばり付くようにしていた。
一番最初の”通過儀礼”で悪い意味で目立っていた俺にいきなり抱きつかれてアイツもびっくりしただろうけど、あんまり具合悪そうだったからって拒絶せずに優しくしてくれたのが仲良くなるきっかけだったなそういえば。
フェアじゃないだろうからって俺が秘密を打ち明けた後、きょとんとした顔で「そういうこともあるんだね」とあっさり受け止めたマルコの器のでかさは半端ないと思う。
それとどうしても気になったのでこっそりマルコの”聖域”(霊がいなくなるマルコを中心とした半径数mの空間を勝手にそう呼んでた)の境目をじっと観察していたら、スッと近付いた霊がサラサラと砂のように空中分解されていたのが見えた。
それ以降、俺の中でのマルコのアダ名は”大天使”だったのは一生の秘密だ。
ちなみに大天使マルコと同じように周囲の霊を浄化させていたのがクリスタだった。女神ガチ女神。

んでまあ、内地で楽々安定して生きていこうと頑張っていた俺だが、結局色々あって調査兵団に行き先を進めてしまった。
なにせ一緒に連れて行こうと思っていた俺の”聖域”マルコが一足先に天に召されて逝ったから、途端に俺は憲兵団に行く気を無くしてしまったのだ。
マルコに出会う前までは気を張って自分の厄介な霊体質?っていうのか、それをどうにかしようとしてたのに、マルコという駆け込み寺を手に入れてしまってから甘えてしまうのに慣れて、いまさら一人で魑魅魍魎まみれの欲憎渦巻く憲兵に行く気力を無くしてしまった。
何でか知らないが、人の強い欲や醜い感情が渦巻くところほど厄介な霊が集まりやすいのは今までの経験上嫌というほど知っている。
今憲兵に行ったとして、理不尽な腐った上司からの仕事を押し付けられた挙句、跋扈する霊に体調を崩して一気に崩れ落ちる自分自身の未来が見えた。ので、クリスタみたいなやつが居ない限り憲兵に行ってもすぐには体調バランスを整えることすら難しいだろう。
それに以前より巨人の脅威は強く身近になっているのも考えると、駐屯兵団に行っても埒が明かない。
世界の真実の一端を見てしまったこともあって、真実を知りたくなった俺が一番自分の自由で巨人の秘密に近づけるであろう調査兵団を選んだのは仕方のない事だった。今でもたまに早まったなって後悔することもあるが。

ああそうそう、それでも調査兵団選んで良かったなって思うこともあったな。
それというのも、こっちに移動してから変な霊に中てられる事が段違いに減ったからだ。
霊が居ないわけじゃない。むしろ下手な街よりよっぽど霊は沢山居て、流石死亡率ダントツの調査兵団だって思ったくらいだけど、その霊がおおよそ俺みたいな生きてる人間にちょっかいをかけない善良な霊ばっかりだったからだ。
ウチの新しい班長にも、同じ班になった先輩にも、その背後に複数の”それっぽい”気配を感じたけど、ずっとは居ない。ふっと近くにいるって感じた後にしばらくしてふっと離れる感覚がするから、元気かなって見に来た友人の様だって一人思っていた。

…初めての壁外調査で、色々な”別れ”を見てきてから、志半ばで逝っても生き残った人間がそれを受け継ごうと努力するから、沢山の霊が居てもみな清廉なままのかなとも考えている。勝手な憶測だけどな。


んで、話の本筋はここからなんだが。
今俺の目の前には人類最強と呼ばれている兵士長殿が歩いてらっしゃる。
それも目を疑っしまうほど沢山の霊を周囲に抱え込んで、だ。

いつもの事ながら、あの人だけはどれだけ遠くでも一発で見つけられちまうんだよなあ。あの人を見つけるために霊が視えるようになったわけじゃねえってのに。
一番最初に見かけた時は、とうとう自分の頭がぶっ壊れたのかと思って焦ったっつの。
見たこともない巨大な霊の塊が二本足出して歩いている様に見えてギョッとした。その時俺は名も知らない霊団子の男が人類最強と呼ばれた兵士長ということも知らないで、呆然とガン見していたんだと思う。いきなり立ちすくんだせいで通路の邪魔になっていると軽く蹴られた。
その後すぐに近くに居た先輩に、お前よくリヴァイ兵長に通せんぼ出来たなとからかわれて初めて俺は人類最強の男の顔を知ったのだった。

霊に覆われて、霊を見ないように意識しない限り顔も見えない兵士長と、そんな兵士長を悲しむような、心配するような表情で見つめている周囲の霊たち。
見えてしまう以上どうしても気になってしまって目で追ってしまう俺は、周りから変に思われていないだろうか。
気になる、けれどもただの新兵である俺に兵士長と係る機会なんてまずない。
結局のところ早々に解ける謎じゃないんだろうなって俺は簡単に考えていた。

エレンが絡んできたあの事があるまでは。


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