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O~必要不可欠要素~

ヲタクブログです。 絵は無断で持ってかないでください。 ついったーでも呟いてます→wataame1gou シブ垢→523874

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なんかきっかけの前提の話で長くなってしもた


あの人と話す最初のきっかけは、確か俺にとって初めての壁外調査の後、女型の巨人捕縛とエレン入れ替わり作戦を立てている時だった。

どういうコネか、いや冷静に考えればどう考えてもエレンつてだな、とにかくアルミンがまさかの自身提案で団長に内通者の”容疑者”の報告をしている時に、あっさり俺を”裏切り者ではない”カテゴリに入れて報告したそうだ。
それまで明らかに失敗に終わった壁外調査の結果に打ちのめされていた雰囲気と、エレンが調査兵団から憲兵団に引き渡されるという不穏な空気に包まれた兵舎でただじっと待機していた俺は突然呼び出されて驚いた。
夕暮れ時に出発した、行き先は旧本部の古城、エレン達の居る隔離場所だった。
指定された一室に行くとそこにはエルヴィン団長と兵舎からいつの間にか姿を消していたアルミンが居て、俺は軽い驚きと共に成る程と納得もした。
アルミンの頭のキレは先の壁外調査でも話していて俺も実感していたが、アイツはエレンの幼なじみという立場も冷静に鑑みて、それを利用して団長に進言したのだろう。
アルミンがエレンを裏切る事は絶対にないと言う事を彼は既にトロスト区の時に証明している。

しかし、本人が居ない場で勝手に身代わりに俺を推薦しやがって。事が起きなけりゃ、一番危険に晒されるの俺じゃねえか。目的の為に例え同じ釜の飯を食った同期すらあっさり危険に晒すコイツを俺はこの時から裏で”ゲスミン”と呼んでやると決意した。

「使える駒はとことん使うというのが私のスタンスなのだが、なにせ駒がいつも不足しているからね。それで…ジャン・キルシュタイン、君には事の次第の把握とその覚悟はあるか?」

ほぼアルミンの案を受け入れる様な形になってしまうが、報告を受けて私が再度考えても彼の案が最も妥当だろうと考えている。そう言ってエルヴィン団長は俺を見た。

「この兵団を選んだその時から、元より。あの死に急ぎ野郎と外見とはいえ近いと言われるのは尺ですが、少ない駒の中で俺が妥当なのは理解しています」

そう言い切った後、俺はつい細い溜息をついてしまった。ひとりごちる様にそれにしても、と小さく呟いた言葉を団長はすくい上げた。

「どうかしたのか、何か気になることでも?」
「いえ、個人的な事です」

場に相応しくないと思って言葉を消そうとしたけれども、団長が促したので俺はしぶしぶ口を開いた。

「いえ、今になって知り得ないだろうと諦めていた事が浮上してきたことと、そいつの縁で今自分がここに居ることを考えて不思議な気分になったので」
「…やっぱりマルコが…もしかして、『今何をすべきかわかる』っていうのは」

アルミンが口を開いた。俺は頷く。

「ああ。以前マルコが、な。俺は周囲を冷静に見て現状把握するのに長けてて、かつ弱い人間だから一般の視点で命令を出せる。切実に響くだろうってな。
…兵団決める時にその言葉が頭から離れなくってよ」

そう言って苦く笑った。
その話をドアの外で聞いている人が居たと知らないままに。



容疑者として名前の上がったアニは憲兵団へと所属を進めたので、壁外調査に潜り込んでいた時点で少なくとも調査兵団にも内通者は居たはずだった。壁外調査中森で待機していた時点で俺とアルミンは入団して5年目で線引しただろうと予想していたが、結局のところそれは当たっていたようで。
その中で疑いの濃い104期の新兵の中で”身内”だと判断されて、身代わり作戦の会議にまで出席を許された俺だが、アルミンはどうやって俺が裏切り者でないと判断し団長に説明・説得したんだろうか。
気になった俺は会議が一段落した所でアルミンに切り出した。

「…ひとつはジャンの方から先に”女型の巨人を捕獲する”目的で今回の壁外調査があったんじゃないかって切り出した事、そしてそれをエレンの味方である僕だけに打ち明けたことかな。あの場には確かに僕くらいしか同期は居なかったけれど、わざわざ”訳知り顔”してる僕に”諜報員”の話を振ってくる人間が裏切り者とは考えにくいから。
それと5年前に移住した僕らに比べて裏付けのとれるしっかりした戸籍をジャンは持ってたし、確認が早く済んだからっていうのもあったみたい」

ふうん、と漏らしたが、判断のボーダーがアルミンの勘と戸籍確認が限度なのかと俺は少し不安になった。
俺自身がただ一介の人間だということは俺が一番わかっているけれど、今回の事の重要さを鑑みたら白だと判断するのはもっと慎重に行うんじゃないかと少し腑に落ちない気分でもある。

「スッキリしねえって顔だな」

俺の正直過ぎる顔を見てつい口出したという風に、その人は話しかけた。
ずっと俺達のやりとりを見ていたリヴァイ兵士長だった。
少ない人数での会議が終わってその場には兵長と監視対象そして保護対象であるエレン、アルミンと俺が居るだけで、団長達は既に退室、ミカサは所用で離席していた。

リヴァイ兵長の背後には今日も霊がいた。
それも先日まで見かけなかったニューフェイスの霊が漂っている。
その霊たちは心配そうに兵長と、傍にいるエレンを交互にそわそわと見ていたから、もしかしたら先日全滅したというリヴァイ班の人たちなのかもしれない。
今見るべきものではなかったなと少し後悔しながら目線を伏せ、それから霊を視ないよう兵長の顔を注視した。

「事の重要さを考えて、俺を信用する判断材料が少ない気がするのでつい。俺自身が自分の身の潔白を一番わかってるんですけど、客観的にそれを証明出来てる気がしないので…」
「大丈夫だ、俺達は間違いなく現時点でお前を信用している。
アルミンからの報告でもそうだが、今お前がそうやって冷静に自身の立場を理解し、かつ人類のためにどうすべきか真剣に考えている姿勢を見せてもらったからな。
先の報告の時に、それより前に聞いていたとはいえ感情的に話していたエレンに反してお前はマルコとやらの名前が出てきても冷静に対処していた。アルミンの話だとずいぶん仲が良かったらしいな」
「はい。…アイツの言葉が頭から離れなくて、結局調査兵団に来ちまいました」
「エレンにも聞いた。お前は元々憲兵団を目指していたらしいのに、それを蹴ってココに居た時は目を疑ったってな」

らしいといえばらしいが、エレンのあんまりな言い回しに、何言いふらしてんだこのクソ野郎と条件反射でガンつけた。口に出して喧嘩を起こさなかったのは、ひとえに兵長の目の前だったからだ。この人の前で子供のように騒ぎ立てるバカをしなかっただけ大人になったのだろう俺は。

「…マルコの件は、結局はきっかけに過ぎないんです。アイツの死に関しては、本当のところまだ踏ん切りなんてついていないけれど、もし、アニから情報を聞き出せるのなら、なんて思っても居ます。
俺はもう、巨人への恐怖に目を閉ざしてジリ貧になってる事実から…巨人の真実から遠ざかるのはまっぴらだ」

その意地だけで、今この場を踏ん張って立っている。いつだってそうだ、調査兵団は常に死が寄り添って立っているのだ。命綱なしの綱渡りで、嫌でも前を見て歩いていかなければならない。

そんな俺の言葉を聞いて、兵長はフッと口の端を歪めた。笑った…のだろうか?淡いその表情はすぐに消えて自分が見間違えたかのような気分になる。

「それだけ覚悟持って調査兵団にいるなら間違いない。お前が同志じゃなけりゃ、ウチの誰だって調査兵だと名乗れねえだろうよ」

そう言った兵長は呆然とやりとりを見ていたエレンを軽く蹴って、促して退室していった。エレンを地下室に連れて行くのだろう。
最後に見た兵長の目は優しい色を含んでいたような気がした。

それがあの人との最初の会話だった。

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