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O~必要不可欠要素~

ヲタクブログです。 絵は無断で持ってかないでください。 ついったーでも呟いてます→wataame1gou シブ垢→523874

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吟遊詩人のエレンが書きたかっただけなので満足。

脳内補足。
なんやかんやで敵である巨人を駆逐完了したその場で幼馴染3人は一気に戦地から逃走。エレンやアルミンは戦いが終わって国に戻ってもエレンが二度と外に出れる保証がない事を知ってて、しかしあくまでも怪しまれないように全く旅支度しないまま通常の壁外調査の恰好のまま戦地へ。そこからの一斉巨人駆除の末に水蒸気に紛れて全力で外の世界へ直行。兵長辺りはエレン達の姿が消えたと聞いて死亡したという噂を流す。国を捨てて世界を回る覚悟を決めた子供たちを、大人は痛ましくも羨ましく思って彼らの尻拭いをする。それが彼らをこの戦いに巻き込んだせめてもの償いだと思ったから。

吟遊詩人になろうと提案したのはアルミンで、それぞれバラバラに国を見ていってまた定期的に集まろうと言い出したのはエレン。ミカサは基本的に音痴なので吟遊詩人ではなく流浪の狩人として各地の傭兵や害畜駆除をしたりして生計を立てる。

エレンがモデルの英雄譚である『紅蓮の/弓矢』シリーズを先に謳ったのはアルミンで、それを聞いて恥ずかしがるも対抗してエレンが謳い出したのがリヴァイがモデルの英雄譚『自由への/進撃』シリーズ。どちらも人気の詩になって、エレン達を真似て吟遊詩人になった人間もそれを歌い出し一躍ブームになる。
また調査兵団の着の身着のままで当初吟遊詩人を始めたので、人気のシリーズを生み出した吟遊詩人は自由の翼を背に載せているという噂まで回り始めたので、慌てて三人とも別の外套を調達するようになる。(余談)

巨人を駆逐した後の世界は、それはそれで面倒くさいものだった。

以前そう一言毒づいたらハンジに涙が出るまで爆笑された。
長く実質上鎖国状態だった俺らの国は、天然ガスをはじめ豊かな資源があったために立体機動術なんて気狂いの巨人殺しの手段が発達した。そして当然ながらその技術は他国では不要の長物だった。
いや、全く不要というわけではないのだろうが、使い処が非常に限られるし前条件として豊潤なガスが必要なのだからそのガスを長期に保存したり輸送する手段が整わなければどうしようもない。
故にその特異性は他国の目を引いたが、それをそのまま真似しようとする酔狂な奴らはあんまり居なかった。ガスの圧縮方法やその利用方法はどこでも重宝がられたが。

他国。そう、他国の発見。それこそが巨人の居なくなったこの世界で最も大きな衝撃だった。

アホなことに、どの国も自らの国が最後の人類なのだと思い込んでいたというのだからとんだ笑い話だ。
俺達のようにどの国も壁に囲まれた土地がよそにないのかと気づかなかったのは、俺ら調査兵団の様な命知らずの気違いどもの運がちっとも回らなかったのが原因だったとも言えるし、巨人を巻いて次の壁に辿り着く迄に距離が長すぎたからなのかもしれない。実際はどちらもなのだろう。
狭い檻の中で一生を暮らした家畜は外の世界に自分たちと同じような家畜棟があることを知らない。ただそれだけの事だ。
まあそれも実際は国の中枢にいる腐った層がただ口を噤んでいただけなのかもしれないが。有効な他国への手段を持たないまま巨人に分断された領土を移動するのは見返りが少なすぎるとか色々考えていたんだろうが、本当にどこまでも調査兵団(俺達)を舐め腐った奴らだ。どれだけの、どれだけの人間が無知故に死んでいったと…。
ゲスはどこまでいってもただ腐っているだけだ。そのくせ甘い水を見つける才能だけは異常に優れているから、こちとら身中の虫と何時まで経ってもイタチごっこしている。
この国は本当に腹が立つことばっかりだ。

「あークソ、こんな国見捨てて旅に出てえな」
「アハハ、またそんな事言ってる~まじうけるー」
「お前の顔面削いでやろうかハンジ」
「おっとそれは勘弁だね~私も広い世界に旅立つ前に野垂れ死ぬなんて嫌だよ!今度こそ巨人の原始生物を見つけにルーツを辿る長旅に出るのさ!!」
「そう言いながらお前もここから逃げれてねえだろうが」

傍にいたハンジに、つい口から出たつぶやきを拾われてしまった。
気を張らない場でつい口癖のように出てくるのが「旅に出たい」になったのは、この調査兵団…否、元調査兵団に多大な影響を与えた子供のせいだろう。皮肉なことにあの子供の扇動のせいで残り少なくなっていた調査兵団の生き残りの半数以上が身勝手に退団し―つまりは脱走兵になってまで、世界に飛び立ってしまった。

俺らは結局のところ逃げそびれてしまったのだ。なまじ実力と責任がある故に、自分の夢だけを追うことをためらってしまった。
後は巨人が居なくなった代わりに出現した『他国』という存在から身を守るために、みっともなく見下していたはずの調査兵団に護衛をしろと高々と上がる声が腕が、俺達をこの国に縛り付けた。雁字搦めに、巨人を屠るために使われていた軍力を『他国という敵』から自分たちを守るために使えと、俺達は今度は自分の国に縛り付けられたのだ。

「ほーんと嫌になるよねー。散っ々私達のこと馬鹿にしてたくせに今度はその力を使って自分たちを守ってくださいだってさ!お陰でものすごい地位ははね上がっちゃって祭り上げられてるけど。それならしばらく私達を開放して他国観察とかさせてくれたらいいのに!」
「なんだかんだで引きこもり体質は早々に改善されねえよ。外に出るなって100年言い続けていきなり外に出ましょうだなんて言って民衆がついていけるか」

外に出たがりの俺達の事を気が狂ってると言ってた奴らがけろりと外に出ていけるのなら、それはそれで業腹だ。既に商魂逞しい奴らは私兵を使って道を開拓しているらしいが、残念な事にそいつらから俺らに声を掛けるにはこちらの地位が高くなりすぎたようだ。ちっ。

「あ、そうだ。こんな代わり映えのしない愚痴をしにココに来たんじゃないんだよリヴァイ」
「ああ?」

もしそうだとしたら本気で殴るつもりだったがな。
君の思考回路はバイオレンスが過ぎるよと呆れた声が聞こえた気がしたがしらん。

「ねえ、おもしろい噂を聞いたんだけどさ。リヴァイは吟遊詩人って知ってるかい?」
「なんだそりゃ。昔人類が壁に閉じこもった以前にあった職業の一つだったか」
「そうそう。世界のあちこちを旅して、うわさ話や昔話を曲と一緒に語ってくれる歌い手のことだよ。今ね、それが他の国で流行っているらしいよ!」
「ほう。それはいい娯楽になりそうだな。しばらくはウチでも流行るんじゃねえか」
「既に爆発的に大人気だよ!それで今晩にでも酒場に潜り込んで聴きに行かないかい?」
『自由へ の進撃』をさ!

噂を聞きつけていたハンジにまんまといっぱい喰わされていたと気づいたのは、その酒場で吟遊詩人の声を聴いた直後だった。
色褪せた草色のフードの背には今は懐かしい自由の翼が刻まれたままで。
朗々と歌う声は昔なくした子供の落ち着いて成長した声色だった。
口から紡がれるのは懐かしい巨人との戦いの日々であり、立派な英雄譚と成り果てた俺の話であって。
恥辱と今まで放り出された憤りと、そして紛れも無い嬉しさを必死に抑えつけながら詩を聴き終えた俺はまっすぐに吟遊詩人の前へ進むと、思い切り腹に向かって蹴りを入れた。

「うっわ、マジおっかねえ…」
「テメエ、」

辛うじて避けた吟遊詩人のフードの下には、昔と変わらない金色の目が輝いていた。


:::::


結局のところ人害にしかならない巨人たちを駆逐した頃、俺はほとんど全てを投げ捨てて、持てるものだけ持って世界を旅することにした。
背中に竪琴を背負って、途切れてしまった人類の歴史を辿るのが目的だ。
巨人を滅ぼす為に一足先に壁外へ出たりちょっと遠出したことはあったけど、それと比にならないほどの長い長い旅。
根無し草の様にふらりふらりと旅するのは楽しかった。
巨人の為に国と国が長い間途切れ、互いに他の国は滅んでしまったのだと思い込んでいた国が多かったのは最高な皮肉だと感じた。
どの国に行っても自分たちが最後の人類なんだと言っていたのだ。
しかしそれでも国を隔てる最大の脅威がなくなった事で、どの国も自分の国の歴史を辿り、取り戻す余裕が出来ていたのは俺にとって一番の収穫だったかもしれない。
お陰でどの国に行っても他国のネタを詩にして歌えば珍しがられ、その日一番の娯楽となったのだ。
寝床に困ったら酒場に行って歌えばおひねりが弾んで最高のもてなしを貰える。
そうして日々食いつなぎ、荒れ野を歩き続けばそこにはいつも見たことのない地平線が広がっていた。
苦労して巨人を駆逐した甲斐があった。
…そうやって悠々と俺が各国をめぐっていた一方で、俺に少し遅れて俺と同じ様に各国を回って旅していたアルミンが勝手に俺を題材に英雄譚を謳っていたと知ったのは、その英雄譚が多くの吟遊詩人に流行っていた後だった。

初めにその詩を知った時は恥ずかしさで死ぬかと思った。なんで俺こんなに美化されてるの、これ絶対アルミンのせいだろやっぱりぎゃあああと叫び声を上げたくなるくらい悶絶したが、その仕返しにアルミンの詩でも俺が作って謳ってやろうと思いついた。

そして気がついたら兵長の英雄譚が出来ていた。
あ、あれ?でも俺がメインの詩とかどんだけ自分好きだよアホだろってなるからじゃあ別のやつ主人公にすればよくね?と思ってカッコイイエピソードを頭から引き出していたら、一番一緒に死線をくぐっていたあの人の事ばかりになっていた。
よくよく考えれば、巨人になる俺の監視役として一番近くに配置されていたのは兵長だったし、ミカサやアルミンともよく一緒に組ませて貰ったけど、負傷がなければ一番共にいたのは兵長だった。そしてその事実に今更になって気付いた。
ミカサもその戦いぶりは抜きん出ていて派手だったけども、だいたい其の時には、その、俺と絡んだ事情ばかりが先行していたから、俺の話を抜かそうとするとミカサは活躍がとても少なくなってしまう。
…アルミンの詩では俺より派手に戦闘してるくらいだしな。事実そうだったし。
考えた結果、兵長の話の方が見栄えがするのでこれでいいやと謳い始めた。

そしてその結果が今の俺の状態だったりする。

「オイ、いつお前は俺の少年時代を知ったんだ?あ?」
「あ、い、いえ、この少年という表現は別に実際に少年時代を言ってた訳じゃなくてですね、比喩というかあの、」
「つまり俺が少年に見えるなにがしかの要因があるって言いてえのかオイ」
「ヒィィイッ!!やめっ、腹はやめてぐぼっ」

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