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O~必要不可欠要素~

ヲタクブログです。 絵は無断で持ってかないでください。 ついったーでも呟いてます→wataame1gou シブ垢→523874

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終わるかなー

出来た!…かな。もういいよね、これで終わりで。

どうやら私の考える苗木くんは最終的に苗木様になるらしい。とりあえず私には狛苗は書けないということがわかった。
あと、これで狛日と言っていいんだろうかと不安になっt(ry
そうして僕が移籍することになった新しい研究機関にやってきて数ヶ月。僕はなかなか大きな「アタリ」を引くことがなかった。普段の僕なら平穏であることを心の底で喜んでいたところだろうけど、不運を引き当ててとっとと未来機関に戻りたい今の僕としては、アタリがこない今の状況は不運とも言える。
僕の左腕のPDAはプログラム上1週間の期間内でないと運のストックも使用もできない。長期に渡る幸運不運に関してはどうしようもないというのは予測できた。
でも、一方で僕は自分の才能を信じていた。皮肉にも、大きな不運は必ずやってくると僕は自信を持っていたんだ。
そして、その日はやってきた。

最先端の技術の最終実験に置いて、設備が暴走。当初予測していた以上に、というかここまで酷くなるはずがないだろうという規模の化学反応の連鎖で機械が暴発、想定外の爆発で実験室は大破した。そして僕はというと、「奇跡的に」傷一つなく、爆発による爆風の直撃をたまたま近くにあった柱で避けられ無事だった。
事故が起きる直前、PDAの振動が左腕から伝わった。直後PDAの表面に文字が浮かび上がり、『Level★★★★☆Pattern Bad ウンヲツカイマスカ?Yes/No』
と表示された。僕は迷わずYesの部分をタップした。
その結果が、今の状況だった。

僕は自分の作戦が成功して内心歪んだ笑みを浮かべていた。これで僕は未来機関に帰れる。
最先端の技術を失敗する直前まで再生するのにどれだけの資金が必要か、ここの機関は頭を抱えるはずだ。そしてその上でまた不運を持ってくるかもしれない僕を抱え込む勇気があるかどうか。それに不運というものは、一枚底とは限らない。落ちて、そこが最悪だと思っても、更に落ちることだってある。それなのに健気に僕の持ってくる幸運を待つのかな?あれあれ?
気付けば僕はいびつな笑い声を抑えられていなかったらしい。妙な音が喉から漏れ出ている。いけないいけない、とりあえず僕以外の生存者を探さないと。数ヶ月お世話になった機関にも、せめてそれくらいしないとね。

実験室周辺の施設内も至るところで連鎖的に爆発が起こったらしい、火の手が上がっているところもある。あらら、今回の不運はもっと大きくなりそうだ。僕も逃げ出そうと廊下を走っていると。
彼と目があった。
ここにいない筈の彼。未来機関で、皆の…僕のことを待ってくれているだろうと、僕が思い込んでいた彼が、壊れた瓦礫に挟まれ、身体の大部分を下敷きにされていながらもしっかりと意識を持った表情で、僕を見ていた。

日向くんだった。

そうだ。僕はさっき自分でも言ったじゃないか。不運は一枚底とは限らないって。僕の不運は一度で終わるとは限らないんだ。

「なんで、なんでなんでなんだよ!!何で君がこんなところに居るんだ!!!?」
「狛枝、」

日向くんの傍に駆け寄り、僕は膝をついて彼の周囲の瓦礫を取り除こうとした。でも、破片が大きすぎて、ビクともしない。日向くんは少し言葉を出すのがのが辛そうに喋った。

「狛枝、ごめん。俺、お前が辛いってわかってて、それでもお前の傍に居たかった。だから、未来機関に頼んで、お前の監視をする役目を貰ったんだ。その結果がこの有り様だけどな。…ハハッ」
「バカっ、僕はどうせ僕の不運でこんなところ追い出されるってわかってたからここに来たんだよ!僕みたいなろくでもない才能を持った人間を雇えるのなんて、未来機関しかないじゃないか!」
「うん、お前がそう考えてたのも知ってた。お前のその自分を大切にしない思考回路なら、嫌って言うほど何度も聞いたし…でも、俺だってお前だけに重荷を押し付けるのが嫌だったんだ」
「何、何が重荷なのさ?というか、なんで君がそんなに詳しいの?君そんな重要なポストにいたっけ?」
「…お前がこの機関に声掛けられて、交渉してた人の手伝いを俺がしてたんだ」
「…」

何もかも、日向くんは知っていたというわけか。それなのに僕は彼に一言も告げず、自分のエゴで飛び出てしまった。
必死で僕が出ていくのを止めていたのは彼だったのに、僕はそれを知らず、彼の努力を無視し裏切った。

「お前が未来機関の事を考えて、あえて出ていったのを知って、俺は俺の無力さを再確認した。お前は、大嫌いな自分の才能を使ってまで未来機関の事を考えてくれたのに、俺はそれを知って、何も出来なかったのが悔しかった。だから、せめてお前が無理をしてないか監視する役目をさせてくれないかって頼み込んだんだ。…その結果がこのザマだなんてな…お前にバカって言われても反論できねえや」

そう言った日向くんは苦しそうに咳き込んだ。気付くと周囲には火の手が近づいている。

「日向くん、こんなところで話し込んでる場合じゃないよ。その瓦礫の下、どれくらい身体は挟まれているの?」
「足の部分ががっつりハマってるくらいで、後は瓦礫が檻みたいに囲ってる感じだ。圧迫感はあるけどお前と話せる程度には元気だぜ」
「そう…」

それでも救助を待つには時間がかかりすぎる。負荷がずっとと最悪足が壊死して切断しないといけなくなるかもしれないし、近くには火の手すらある。逃げ出せるなら早いに越したことはない。
そう思ったのだけど、日向くんは何故かその口を閉じることなく話し続ける。

「狛枝、お前に謝りたいんだ。お前がずっと信じてきた信念を曲げてまで、俺はお前の傍に居たかった。お前がずっと誰の傍にも居ようとしなかったから。最初は何であんな自虐的なことしか言わないのか全然わからなかったけど、その理由を知りたくて、そしたらお前が自分の過去を話してくれてさ。…その時、俺はお前に辛い過去を吐かせてしまったって、初めてお前の心が見えた気がしたんだ。そして、周囲を思いやって常に壁を作るお前のいじらしい優しさを知って、俺はずっとお前の傍に居たいって思ったんだ」
「…君はMなの?僕と居ると」
「不幸になるとか言うなよ。もう、そんな自分を傷つけるじゃねえよ。
お前の言う不運の上に立つ幸運なんて、幸福なはずがないんだ。お前の幸せってなんだよって俺はずっと思ってた。お前の信念を否定すると思って口に出さなかったけど、お前の言う幸運は、幸福なんかじゃない。…だから俺は、せめて俺が近くにいる時は、そんな幸運の裏の不幸なんて感じて欲しくなかった。
お前が自分の不運に俺を巻き込むことを不安に考えてたのも知ってた。でも、例えお前が不運を引いたって俺は傍にいるって証明したかったんだ。ほら、この人といると幸せになりそうだから、じゃなくて…この人と不幸になっても乗り越えたいって人と居ろっていう話あるよな。そんな感じのこと考えてた」
「…一応突っ込んどくけど、それってプロポーズのときの謳い文句じゃなかったっけ」
「え゛っそうなのか?あ、別にそういうつもりじゃないんだけど…まあいいやそれで」

それでいいのかよというツッコミまではさすがに野暮だから口には出さなかった。…言質を取ったような気にもなったしね。でも、何でこんなに話すんだろう日向くん。まるで焦っているかのようにまくし立てている。
僕は不安になってきた。こんなに日向くんから想われていたという事実はとても幸福だったけれど、何で今のタイミングで話すんだろう。こんなの、嫌なフラグにしか感じられない。まさか。

「ねえ日向くん。本当に怪我はそれだけなの?」
「…」
「ねえ、答えてよ!?」
「いや、もうちょっとしたら多分足が外れて出れると思うんだ。だから狛枝は先に行っててくれよ」
「…あのさ、バレる嘘ならもっとマシにつきなよ?」

やっぱり彼はまだ爆弾を抱えていたようだ。本当にふざけないで欲しい。どうせ僕の思考を掻き乱して体よく僕を避難させるつもりだったのかもしれないけど、日向くんごときの凡才が僕を出し抜けるだなんて考えてたとはね。
滝のような汗をかいている日向くんはまだゲロってないけど、何か抱えているのは明らかだ。

「日向くん、まだ僕に言ってないことがあるでしょ?」
「…」

さっきまでの饒舌さはどこに行ったのやら、一転して黙っている日向くんに呆れてため息をついた時、それは来た。

『Level★★★★★Pattern Good ウンヲツカイマスカ?Yes/No』

星5つ、今まで一度も来なかった最大級の幸運だ。それほどの幸運を使わないと、日向くんは助からない程窮地に立たされていたってことなの?
僕がYesにタップしようとした時、隙間から腕をひねり出して日向くんが僕の腕を掴んだ。
え、何で日向くんがコレの存在を知っているの?

「駄目だ狛枝、それじゃ、お前の運が無くなっちまうじゃないか!お前このまま一生不運続きでいいのかよ!」
「何で君がそれを…いや、そんな場合じゃない、そうしないと君が今死んじゃうじゃないか!黙っててよ!」

選択が提示されてから3秒しか運の使用の選択は行えない。僕は声を枯らすほど大声で「Yes」と叫んだ。



『あなた方の言っていた日向創という人間は面白いですね。自分から遠ざけるための言葉が逆に自分から離れなくなるような言葉だと自覚せず、ずっと話し続けるのですから』
「うるさいよ、君。大体なんで深海に引きこもってる君がしゃしゃり出てくるのさ」
『珍しく僕も面白そうな話を見かけたので、せっかくなので協力しようかと思いまして。つまり気まぐれです』
「…」

あの後、僕らは運良く僕らのいる床だけ落盤し、日向くんも無事瓦礫から脱出出来た。床が抜けてどうやって無事だったのか不思議だったけど、ちょうど下に落ちたところに散らばっていた資料とか諸々がクッションになったらしい。ともかく身体に大きな怪我はない。
日向くんが僕のPDAのプログラムの事を知っていたのは、僕がPDAに向かって何かやっていたのに気付いて苗木くんに尋問し、困り果てた苗木くんのタブレットからカムクラくんが出てきて説明したかららしい。
それでもどうやらカムクラくんはその説明を中途半端に行なっていて、日向くんはちょっと勘違いしていた。
日向くんはあのシステムが1週間限定ということを知らなかったようだ。つまり一生分の運を貯められて、その中の運を僕が思い切りよく使おうとしたと思い込んでいたようだ。…僕の運がその程度じゃないことを彼は理解してないのか、それとも逆に人類でも前代未聞のものすごい幸運ないし不運がやってくると思っていたのか。前者だとしたら、日向くんは直ぐに僕から離れた方がいいと思うな。

「カムクラくん、君あえて伏せて日向くんに説明したでしょ」
『そうした方が楽しいと思いまして』
「酷いトリックスターだなあ」
『貴方に言われると感慨深いですね』
うん?何故かカムクラくんからしみじみと言われた。

なんやかんやと僕は最初の目論見通り未来機関へ戻され、それに伴って日向くんも戻ってきた。どうやら僕はともかく僕を追って日向くんまでもが移動するとは誰も予想してなかったらしくて(でも多分苗木くんは予期してた気がするな。本来の僕の監視役は彼だし、やっぱり怖いよ彼)日向くんおかえりモードが炸裂した後に、よくも日向を連れて行ったな狛枝と僕は理不尽に集中砲火を食らった。日向くんが自分で行った結果なのに、納得行かない。

僕は今回のことを反省して、正直に彼にこの場所で僕を待ってて欲しいと告白した。あと洗いざらい僕の本音も話す羽目になった。
全ては僕が話したがらなかったことが原因だから僕が文句を言える立場じゃないけど、それでも日向くん程照れずに本音を話すことが出来ない僕としては、下手な拷問より辛かった。なんだ、これは公開処刑かと何度思ったことか。
まあそれでも何とか日向くんも僕の言い分を理解してもらえて、今回みたいに出張ってこないようには出来たと思う。

「それはどうかな」
「不穏なことを言わないでよ苗木くん」
「だって日向くんはあくまで帰れる場所が欲しいっていう狛枝くんの望みを理解したってことでしょ?それがこの未来機関の中だけだと彼は考えるのかな?」
「…」
「君のそばに居る、それが君たちのホームなんじゃないかな」
「…君まで日向くんみたいな臭いこと言わないでよ…」
「あれ、アタリなんだ?あははごめんねー」

本当にこの人怖い。


おしまい

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