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O~必要不可欠要素~

ヲタクブログです。 絵は無断で持ってかないでください。 ついったーでも呟いてます→wataame1gou シブ垢→523874

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前の生成姫のプロットであった、イズル発生後の巻き戻しでちみカムと日向くんのからみとか。

日向くんまじ…まあこの時代はお稚児さん当たり前だったし…(言い逃げ)
とたとたと幼子の歩きまわる音がする。
ここは都の丑寅の方角にある屋敷で、貴族の屋敷としては質素な佇まいである。そう広くない屋敷にはそこそこの広さの庭があり、そこにはぽつりぽつりと木や植物が植えられていた。今目を引くのは藤棚から無数に垂れ下がった白藤だ。
藤棚から視線を外し、屋内へ戻す。
庭に面した部屋にはぼんやりと気の抜けた顔をした狛枝とその召使兼子守りの七海、そして俺日向創と、先日ちょっとした出来事でここに住む事になった幼子カムクライズルがいる。
一応自己紹介すると、とりあえず今のところ帝の一番の後継者に認定されているのが俺、日向創だ。
今は一応頭の中将の役職を貰っているけど、結局の処俺の親とかそこら辺の院が政に首突っ込みたいから面目立てとこうぜって事でいわゆるお飾り官職だったりするのが実状だ。今の帝も右大臣のいいなりだし、あっちの家もどうやら権力的に雲行きが怪しくなってきたみたいだから、今病に伏せられている帝がお隠れになったら多分俺が新たな人形になるだろうな。
都の腹黒狸や狐に食われるのは本当は嫌だけど、そういうところに生まれた以上どうしようもない。
ともかくまだ俺に自由な時間がある内に、俺は俺の最愛のやつの元に足繁く通っているわけだ。

俺の最愛のやつってのは、今俺のひざでゴロゴロしてる猫のような子供がそう。子供ーカムクライズルは、今は幼子の着る着物に身を包まれているけど、その頭からは長い黒髪の隙間からにょっきり角が生えている。小さな筍のようにまっしろなかわいい角がつんと立っていて、俺はこの角を触ったり舐めたり甘咬みするのが好きだ。かわいい。
俺が角に噛み付くとイズルはぴゃっと声を出して首をすくめるし、角の生え際のおでことの繋ぎ目を優しくさすってもふるふる震える。本当にかわいい。

「創、くすぐったいです」

最初は我慢して、耐えられなくなるとゆるゆると首を振るイズル。真っ直ぐな髪がサラサラと揺れて、幼子の生命溢れる美しさを惜しげもなく表している。
俺はイズルに会ってから自分の語彙力の無さをとても痛感した。一応これでもそれなりに恋愛をたしなめと周囲に言われそれなりに歌を詠んだり色々やったりしてたんだけどな。なんというか、本命には言葉が出てこなくなるって本当なんだなってイズルが教えてくれた。
あー本当にイズルかわいい。

「うん、そろそろその腑抜けた顔ぶん殴ってもいいかな頭の中将殿?いくらこれが僕の幸運の前の不運だったとしても耐えらえる限界ってものがあるんだけどね」

とか言って俺のイズル大好きタイムを邪魔してくる奴が、今の都のNo.2の陰陽師と言われてる狛枝凪斗だ。俺の腐れ縁でもある。こいつは生まれは下流だったんだけど、やたら運の強いやつで、たまたま有名な陰陽師の先生の目に止まり弟子入りしたり、そのお供で祈祷に行っては強力な妖かしを式神に入れたりする変わり者だ。ちなみに狛枝としては別に自分の力を強くしたいとかを望んでたわけじゃなくて、出てきた妖かしをどうにかしようとした結果が何故か仲間になるという、とこぞのお伽話のような展開になってしまったというのが本当のところだったりする。
そしてこいつは俺の幼馴染だった。傀儡になるために育てられた俺と、色々悲惨な目に遭いながらも結果的に地位がそれなりに高くなってしまった狛枝はその実どちらも望まぬ内に期待されるという不運を持つ同志で、俺の騒動にあいつが巻き込まれたり、その逆もあったりで、唯一自分の立場とか抜きで素で接する事のできる悪友なんだ。
イズルの騒動の時も、なんやかんやで俺が巻き込まれたのはこいつのせいだったからな。まあそのお陰でイズルと出会えたから結果オーライなんだけど。

「狛枝、お前が頭の中将とか呼ぶのをやめたら考えてやる」
「なんでそっちが上から目線なんだよ。腹立つな、日向くんのくせに」
「くせにってなんだよ。あとイズルは離さん」
「うざいよ君」
「まあまあ狛枝くん、日向くんも。カムクラくんはそこで大丈夫?」
「だいじょうぶです。ありがとうございますななみさん」
「いーえ、どういたしまして」

ほんわかと仲裁した七海はさっき見ていた藤棚の白藤が本体の、狛枝の出した式神だ。狛枝は四季折々で庭に植えてある植物の旬の時に力を与えて召使としている。今は藤が盛(さかり)というわけだ。

「それにしても、今年も綺麗だなー千秋は。内裏にもこんなに見事に咲き誇った藤はなかなかないぞ。俺はここの藤を見るのが好きなんだ」
「…ぅ、本当に日向くんは…フラグ率高すぎだよ…」

本体をダイレクトアタックとは本当に恐ろしい奴だなぁ日向くんという狛枝の声は聞かなかったことにした。綺麗なものを綺麗と言って何が悪い。
するとイズルがぽすっと俺の膝を叩いた。見ると顔を下に向けている。俺は自分の顔が崩れていくのを感じながら、イズルをぎゅっと抱きしめた。

「イズルが一番かわいいよ。俺のイズル」

俺は唱えるように呟き、イズルの後頭部に頬を摺り寄せた。
イズルの温かい体温が更に上がったような気がする。ちょっと硬直した後、ゆっくり俺に身体を持たれかけてくれた。ああ本当にかわいいなあ!
もちろんそんな俺らを尻目に呆れたように溜息をついた二人にはノーリアクションを貫いた。

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